小さい子供から大人まで家族で楽しめる!シェーンブルン宮殿の魅力!第1回「宮殿編」


ヨーロッパを旅行する楽しみのひとつといえば、「宮殿やお城」巡りですね。
オーストリア各地にも皆様に是非訪れていただきたい魅力あふれる「宮殿やお城」がたくさんあります。

オーストリアの宮殿やお城の特徴は、それらの建物が観光名所のみならず、コンサートや夏祭り、クリスマスマーケットなどの会場として地元の人々の生活に深くなじんでいるということがあげられます。

今回は、まずオーストリア政府観光局の「宮殿とお城」の紹介ビデオをご覧ください。
オーストリアの宮殿とお城

こちらのビデオに登場しているのは、ウィーンの「シェーンブルン宮殿」、ザルツブルクの「ミラベル宮殿」、インスブルックの「アンブラス城」です。

今回はこれらのお城の中から、ウィーンのシェーンブルン宮殿を取り上げてみたいと思います。

シェーンブルン宮殿は、1996年に「シェーンブルン宮殿と庭園群」として世界遺産に登録されました。魅力あふれるシェーンブルン宮殿をシリーズでご紹介いたします。第1回目の今回は「宮殿編」です。

《シェーンブルン宮殿が現在の姿になるまで》

シェーンブルン宮殿は、17世紀末に神聖ローマ皇帝レオポルト1世(マリア・テレジアの祖父)が王室の狩猟場であったシェーンブルンに豪華な夏の離宮をと、バロックを代表する建築家エルラッハに設計させて造らせたものです。

レオポルト1世は当初「ヴェルサイユ宮殿を凌ぐ壮大な宮殿」を目指したのですが、財政難に陥ってしまいます。結局、宮殿は当初の建築計画からはかなり規模を縮小したものとなり、1700年にバロック様式の猟館として完成しました。外装もピンク色で現在のシェーンブルン宮殿とはかなり違っていました。

レオポルト1世の息子であり、マリア・テレジアの父でもあるカール6世の時代には、宮殿は空き家同然となっていたのですが、マリア・テレジアはこのシェーンブルン宮殿を居城とするため、大規模な増改築を開始します。

マリア・テレジアといえば、私は世界史の授業で断頭台に消えた「マリーアントワネット」のお母さんとして初めて知りましたが、マリア・テレジアの人生は女性の私からみても人間的でパワフルな魅力にあふれています。
初恋を実らせてフランツ・シュテファン公(のちのフランツ1世)と結ばれ、20歳から39歳までの間に男子5人、女子11人の総勢16人もの子供を設けたことも驚きですが、16名もの子供を出産となるとずっとお腹に赤ちゃんがいるような状態だったにも関わらず、身重の体でふたつの戦争(オーストリア継承戦争、七年戦争)を戦い抜き、国の内政と外交において精力的に活躍しています。

話はそれましたが、そんなパワフルな女帝マリア・テレジアが大規模な増改築を行い、現在の姿になりました。
外観はバロック様式そのままに、外壁をピンク色から「マリア・テレジア・イエロー」として知られる上品な色合いの黄色に塗り替えました。当初は黄金色で塗られるはずでしたが、財政状況に配慮したマリア・テレジアの意向で黄金色が黄色に変更されました。内装は、ヨーロッパ各地から集められた一流の職人たちが腕をふるい、豪華絢爛なロココ様式のみならず、東洋美術や漆工芸も随所にちりばめられています。
宮殿でもっとも豪華とされるのが「百万の間」。壁は中米産のローズウッド、金箔の額縁には高価なペルシャ製の細密画がはめこまれています。

《歴史の舞台としてのシェーンブルン宮殿》

「鏡の間」
主に公式の謁見や行事などに使われました。
1762年、6歳のモーツァルトが、マリア・テレジアの前でピアノ演奏をしました。その際、転んでしまったモーツァルトを助けた幼いマリーアントワネットに「大きくなったら結婚しよう」と言ったという可愛らしいエピソードが残っています。

「ナポレオン室」
ナポレオン1世がオーストリア遠征時に使用した部屋です。

「青い陶器の部屋」
1918年、この部屋でオーストリア最後の皇帝カール1世が皇帝位放棄の署名をし、オーストリア領におけるハプスブルク王朝640年の長い歴史、そしてオーストリア=ハンガリー帝国の君主制に終止符が打たれました。

《マリア・テレジアの家族愛を感じる部屋》

マリア・テレジアは、その威信を示すためにシェーンブルン宮殿を豪華に増改築しましたが、一方で大勢の子供たちや召使い、役人、芸術家など総勢2,000人の居住の場として快適な生活空間をつくることを目指しました。
数多ある部屋の中でも私が特に心惹かれるのは、マリア・テレジアが母として子供たちとの触れ合いを大切にしていた一面を垣間見ることができる部屋です。忙しい仕事の中でも子供たちと一緒に作品を仕上げたり、その作品を壁いっぱいに飾るなど…規模は違えど、普通の家庭でも見られる一面ですよね。

「磁器の間」
マイセン磁器のシャンデリアや時計、ストーブがあることから名づけられました。マリア・テレジアの夫フランツ1世と娘たちが描いた淡彩画が一面に飾られています。

「朝食の間」
マリア・テレジアと娘たちが手作りした花の刺繍が壁に飾られています。

《現在のシェーンブルン宮殿》
シェーンブルン宮殿には1,400室以上の部屋がありますが、公開されているのは40室ほどです。
公開されていない部屋は大半が賃貸住宅として利用されています。私も調査してみたことはありませんが、どのくらいの規模のお部屋がどのくらいの賃料で借りられるのか…気になるところです。


今回はシェーンブルン宮殿の建物としての魅力を紹介しました。記事のタイトルには「小さい子供から大人まで楽しめる」とあるのに、一体どこが「小さい子供が楽しめる」のだろうと思われていらっしゃる方もいるかと思います。確かに宮殿見学自体は、あまり小さい子供が楽しめるというわけではないかもしれませんが、次回「動物園編」では、子供も楽しめるシェーンブルン宮殿の魅力について紹介したいと思っています。お楽しみに。




















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