「秀吉」とオーストリアを結ぶ糸


ウィーンから南へ160km。
ウィーンに次ぐオーストリア第2の都市グラーツがあります。
*2番はザルツブルクではないのですね~

ムーア川とグラーツの街並み、目を上げるとアルプスの風景が目に飛び込んできます。
14世紀にハプスブルク家の統治が始まって以来、グラーツにも音楽や学術などしっかりとした文化の基盤ができあがりました。
グラーツ旧市街の別名は、「建築の宝石箱」。
町のいたるところに様々な時代の質の高い建築物がきれいな形で保存され、世界遺産に登録されていました。

グラーツ中央駅を挟んで市街地とは反対側に同じくらいの距離(1キロくらい)を歩いていくと、憩いの場として市民に親しまれる庭園があり、その奥に『エッゲンベルク城』が見えてきます。
エッゲンベルク城の中を見学すると、部屋全体にアジア風装飾が施された一室に辿りつきます。
この部屋の名は、「日本の間(Japanisches Kabinett)」。
壁には黄金色の金屏風が埋め込まれています。
この金屏風、実は、秀吉時代の大阪の町が描かれていることがつい数年前2006年に発見されました。

豊臣秀吉が大阪城を建てたのが1597年、エッゲンベルク城が建てられたのは1625~35年。
建設当初のエッゲンベルク城にこの金屏風はありませんでしたが、1700年代の改修工事でオランダ商人によって持ち込まれた金屏風が部屋の装飾の一部としてて使用されたのではないか、と推定されています。

金屏風に描かれた絵をよく見てみると、立派に描かれた大阪城、刀を携えた武士、肩に籠を下げて野菜を売る人、川にかかる橋、道でおしゃべりする町人、町屋の様子、屋形船など、生き生きとした生活感溢れる当時の風景を垣間見ることができます。
大阪城と当時の町の様子が描かれたものがこれほどまでにきれいな形で残っているのは稀であるらしく、この金屏風は大変貴重なものとして話題となりました。また、大阪城とエッゲンベルク城はこれを機に友好城郭提携を結びました。

およそ250~300年前、長い長い旅を経て、西欧に渡り、不思議な縁でオーストリア南の町のお城に行き着いた金屏風。
この金屏風は、グラーツのエッゲンベルク城で観ることができます。

グラーツへ行くツアープランはこちら: 
オーストリアの車窓から ☆ セメリンク鉄道と絶景!世界遺産 6日

金屏風写真リンク

© Graz Tourismus
エッゲンベルグ城  - 2010年世界文化遺産登録 -
(オーストリア・グラーツ市 平成21年10月2日友好城郭提携 )







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